入学式や卒業式は、子どもの成長や門出を祝う大切なセレモニーです。特に保護者やゲストとして参加する立場だと、「どんな服装で行けばいいの?」「式典でのマナーは?」と悩んでしまうことも多いでしょう。実は、こうした学校行事ならではのフォーマルな場では、大きな華美さは求められませんが、基本的なマナーをきちんと守ることが重要です。ここでは、保護者やゲストが押さえておきたい基本マナーについて、服装や言動、持ち物まで幅広く解説していきます。しっかりと事前準備をしておけば、当日は自信を持って参加でき、子どもや関係者にも好印象を与えられます。
入学式・卒業式は、学校の公式行事という位置付けです。保護者やゲストは、あくまで子ども(卒業生・新入生)が主役であることを踏まえ、目立ちすぎないフォーマルな服装を心がけましょう。男性の場合は、ダークスーツに白シャツ、落ち着いた色のネクタイが無難です。一方、女性の場合は、ブラックやネイビーといったダークカラーのスーツやワンピースを選ぶ方が多いですが、入学式は春らしさを意識した明るめのカラーを取り入れてもOKです。いずれにしても露出を抑え、品のある印象に仕上げることを意識してください。
また、卒業式は「厳粛」、入学式は「華やか」というイメージを持つ方も多いでしょう。卒業式ではシックな色味でまとめ、入学式ではパステルカラーなどの明るめトーンを上品に取り入れると、保護者としての場をわきまえつつも季節感やお祝い感を演出できます。ただし、あまりにも派手すぎる服装や大きなアクセサリーは、主役である生徒より目立ってしまうので避けるのが賢明です。
服装を整えるのと同時に、髪型やメイク、立ち居振る舞いにも気を配りましょう。女性の場合は、過度な盛り髪や濃すぎるメイクは学校行事の場にそぐわないため、ナチュラルメイクで清潔感を重視するのがベターです。男性の場合も、寝癖のない整った髪型を維持し、スーツに合った清潔感のある靴を選ぶなど、細かな部分まで意識してみてください。
また、式の最中や校内を移動する際、大声で話したり、歩きタバコをしたりといったマナー違反は絶対に避けましょう。式の進行に合わせて静かに行動し、保護者同士が談笑する場合でも周囲に配慮した音量で会話するのが基本です。特に卒業式では、感極まって涙する場面もあるかもしれませんが、過剰に騒ぐような行為は厳禁。上品な振る舞いを心がけましょう。
学校行事では、会場となる体育館や講堂に大勢の保護者やゲストが集まることが多いもの。保護者が座れる座席や場所はあらかじめ決まっている場合もありますが、自由席の場合は「前から詰めて座る」のが一般的なマナーです。空席を作らず、詰めて座ることで多くの方が円滑に着席できます。また、お年寄りや体の不自由な方、妊婦さんなどがいる場合は、席を譲るなどの気遣いを忘れないようにしましょう。
もし、来賓や役員などの招待客として参加する立場であれば、学校側から案内された席に着席するのが基本です。その際、周囲への挨拶や声かけをしておくとスムーズに場に溶け込めます。体育館の後方やギャラリーに立って参列する場合でも、式の進行を妨げないよう移動のタイミングや位置取りには注意が必要です。カメラ撮影やビデオ撮影を行うときは、周囲の視線を遮らないよう配慮することも重要です。
我が子や知人の晴れ姿をしっかり記録に残したいのは当然のこと。しかし、卒業式・入学式では多くの保護者やゲストが撮影を行うため、撮影場所やタイミングを誤ると周囲の迷惑になってしまうことがあります。式が始まる前や終わった後の時間を活用し、落ち着いて写真を撮るように心がけましょう。
また、最近ではスマホやタブレットを使った撮影も当たり前になっています。撮影をする際は、「人の頭越し」に手を高く上げてタブレットを掲げないなど、周囲の視線を塞がないよう配慮することが大切です。フラッシュを使うと周りが眩しくなる場合もあるため、学校側が撮影ルールを定めているときは必ず従いましょう。場合によっては三脚の持ち込みが禁止されていることもありますので、事前に確認をしておくと安心です。
保護者同士やゲスト同士での贈り物の交換は、あまり大々的に行う必要はありません。ただし、卒業式ではお世話になった先生や保護者仲間へちょっとした感謝の品を渡す場合もあるでしょう。そうしたときは、式典の進行の邪魔にならないよう、控室や式後の落ち着いたタイミングで手渡すのが望ましいです。大きすぎる花束や重たい品物は先生の負担にもなるため、配慮が必要です。
入学式や卒業式では、子どもたちや学生本人に「おめでとう」「これからも頑張ってね」などの言葉をかけるシーンもあります。式典中に大声で盛り上がるのはマナー違反ですが、式が終わってから校門や教室などで声をかける場合は、笑顔で落ち着いた口調を意識しましょう。また、保護者やゲスト同士の会話でも、式典中・式典直後は他の方もまだ余韻に浸っていることが多いので、騒がずに祝福の気持ちを伝える程度に留めると、周囲への配慮となります。
保護者やゲストとして入学式・卒業式に参加する際、思わぬ小物が役立つことも少なくありません。たとえば、折りたたみのサブバッグは、式典資料や記念品、子どもの荷物などが増えたときに活躍します。式場にカバンを置くスペースが限られている場合は、座席足元に置けるコンパクトなサイズが便利です。また、外履き・上履きの履き替えが必要な学校もあるため、シンプルな袋やシューボックスを用意しておくとスムーズに対応できます。
さらに、校舎や体育館は季節や天候によって気温差が激しいことがあります。羽織りものやストールを一枚持っておくと、防寒にもマナー的にも安心です。撮影用のカメラやビデオを持参する方は、充電器や予備バッテリーを忘れずに。スマホ撮影がメインの場合は、余裕を持ったバッテリー残量を確保しておきましょう。
入学式や卒業式は、子どもたちが主役の晴れやかな舞台です。保護者やゲストはそのサポーターであり、脇役という立ち位置を忘れずに、式典の雰囲気を壊さないように心がけることが大切です。具体的には、フォーマルな服装と清潔感のある身だしなみを整え、静粛な態度で式に臨むこと。そして、周囲に迷惑をかけない形で写真や動画を撮影し、式の終了後はお祝いの言葉や労いの言葉を落ち着いて伝えましょう。
持ち物の準備や撮影時のルール確認など、細かなところまで気を配ることで、当日はスムーズかつ安心してセレモニーを楽しむことができます。服装や所作がしっかりしていれば、子どもたちや学校関係者からの信頼度も高まるでしょう。ぜひこの機会にマナーについて再確認し、思い出に残る素晴らしい入学式・卒業式を迎えてください。