結婚式やパーティー、入学式や卒業式といったフォーマルなシーンで活躍するドレス。特別な日に着るものだけに「できるだけ長く綺麗な状態で保ちたい」という方も多いでしょう。しかし、ドレスは素材や装飾の関係で扱いが難しく、誤った洗濯やお手入れ方法をすると型崩れや色落ちなどのトラブルに繋がることも。
そこで今回は、自宅で行う洗濯やクリーニングに出す際のポイント、普段からのケア方法について解説します。大切なドレスを清潔に保ち、いつでもベストな状態で着用できるようにしておきましょう。
ドレスには、シルクやサテン、シフォン、レースなどさまざまな素材が使われています。これらの素材はそれぞれ性質が異なるため、一概に「洗濯機で洗えばOK」というわけにはいきません。まずは自分のドレスがどんな素材で作られているかをチェックし、その特徴を理解しておくことが大切です。
・シルク(絹)
高級感と滑らかな光沢が特徴ですが、水分や摩擦に弱いデリケートな素材です。自宅で洗うのは難易度が高く、基本的にはドライクリーニングが推奨されます。
・サテン(ポリエステルやレーヨンを含む場合も)
表面がツヤツヤとしており、フォーマルドレスによく使われます。ポリエステル系のサテンなら自宅でやさしく手洗いできる場合もありますが、光沢があるぶん繊維が傷みやすい点には注意が必要です。
・シフォン
透け感のある薄手の生地で、ふんわりと軽い印象を演出します。デリケートなため、洗濯機の通常コースではダメージを受けやすく、手洗いやドライクリーニングが推奨されます。
・レース
繊細な柄が魅力のレースは、引っかかりやすかったりほつれやすかったりと、特に取り扱いには注意が必要。こちらも手洗いまたはドライクリーニングがベストです。
ドレスの裏側には、必ずと言っていいほど洗濯表示タグ(ケアラベル)が付いています。そこには素材や洗濯・アイロンの適正温度、ドライクリーニング可否などが明記されているので、まずはここをしっかり確認しましょう。
・手洗いマークがあれば自宅ケアも可能
ドレスについているマークに「手洗い」や「弱水流」といった表示があれば、自宅でやさしく洗える可能性が高いです。ただし、装飾が多い場合や、シルク・レースなど非常にデリケートな部分があるときは、部分洗いまたは専門店に任せたほうが安心です。
・ドライクリーニングマークがメインならプロにお任せを
「ドライクリーニングのみ」のマークがある場合は、基本的に自宅での水洗いは推奨されていません。水や洗剤の影響で色落ち、型崩れ、装飾パーツの劣化などが起きるリスクが高いため、専門のクリーニング店に相談するのがベストです。
・アイロンの温度や漂白剤の使用もチェック
ドレスにはビジューやスパンコールなど、熱に弱い素材や色落ちしやすい染色が使われているケースがあります。アイロンを当てる際は必ずあて布をし、低温で様子を見ながら行うなど、ケアラベルの指示を厳守しましょう。
「クリーニングに出すほど汚れているわけでもないので、できれば自宅で洗いたい」という場合もありますよね。そんなときは以下の点を守って、ドレスに負担をかけないように洗いましょう。
・目立たない部分で色落ちテストを行う
手洗いや部分洗いをする前に、ドレスの裾や見えない部分を濡らしてみて、布を押し当てて色移りしないか確認します。もし色落ちがある場合は自宅洗いが難しいと考え、クリーニング店へ相談したほうが無難です。
・洗濯ネットとおしゃれ着用洗剤を活用
洗濯表示で「手洗い可能」になっていても、洗濯機の通常コースでは生地が傷むことがあります。おすすめは、洗濯ネットにドレスを入れ、「おしゃれ着コース」や「ドライコース」を選択する方法。なるべく回転数が少なく水流が弱いモードで洗うと、生地や装飾が引っかかりにくく、ダメージを軽減できます。洗剤も中性のものを選び、漂白剤は基本的に使わないようにしましょう。
・装飾部分は部分洗いで対処
ビーズやスパンコール、レースなどの繊細な装飾がある場合は、洗濯機でガシャガシャ洗うのはリスクが高いです。汚れが気になる部位だけをぬるま湯+中性洗剤で軽く押し洗いするか、綿棒や柔らかいブラシで優しく汚れを落とすのがベターです。
・陰干しでシワや縮みを防ぐ
脱水は短時間で行い、風通しの良い日陰で平干しまたはハンガーにかけて干すのが理想。直射日光に当たると変色や劣化を招く恐れがあるため、なるべく避けましょう。シワが気になる場合は、手で軽く叩くように整え、乾燥させる前に整形しておくと仕上がりがきれいになります。
自宅でのケアが難しい素材や、高級ドレス、装飾の多いドレスなどは、専門のクリーニング店に任せるのが安心です。しかし、クリーニング店ならどこでも大丈夫というわけではありません。以下の点を押さえて、お店を選びましょう。
・実績や口コミをチェック
ドレスのクリーニングは高度な技術が必要になるため、実績や評判の良い店舗を選ぶのがベスト。「ウェディングドレス専門」や「フォーマルウェアに強い」といったお店は、ドレスの扱いに慣れていることが多く安心感があります。
・事前に見積もりと相談をする
料金設定や仕上がり日、補修やシミ抜きのオプションなどは、店舗によって異なります。持ち込む前に見積もりを出してもらい、気になる汚れやダメージがあれば相談しておくと、トラブル回避につながるでしょう。
・装飾パーツの扱いを要確認
ビジューやスパンコール、レースなどはクリーニング工程で取れてしまったり傷ついてしまったりする可能性があります。気になる場合は、あらかじめ外せるパーツは外して持参する、もしくは装飾に注意してクリーニングしてもらえるかをしっかり確認することが大切です。
洗濯やクリーニングが済んで綺麗になったら、あとは着るまで保管するわけですが、保管環境が悪いとせっかくのドレスが黄ばみやシワ、カビの原因になることもあります。長期間しまっておく場合は、次のことを意識しましょう。
・通気性の良いカバーを利用する
ビニールカバーに入れっぱなしだと湿気がこもりやすく、カビや臭いのもとになります。不織布製や布製のガーメントカバーに入れ替えると、通気性を保ちつつホコリよけができるのでおすすめです。
・クローゼットの湿度管理
多湿環境での保管は、カビや虫食いのリスクを高めます。定期的にクローゼットを開けて換気をしたり、防虫剤や除湿剤を使用したりして、清潔な環境を維持しましょう。特に梅雨や夏場は湿度が上がりやすいので注意が必要です。
・シワがつかないように吊るす
ドレスを折りたたんで収納すると、シワの原因になります。ハンガーにかけられる形状であれば、なるべく吊るしたまま保管するのが理想。肩のラインに合ったハンガーを使い、必要に応じて肩パッドやタオルなどでクッションを作ると型崩れを防ぎやすくなります。
ドレスは着用する機会が限られるゆえに、「一度着ただけだから」という理由でメンテナンスを後回しにしがちです。しかし、そのまま放置してしまうと見えない汚れや汗、皮脂が生地に浸透し、シミや黄ばみの原因になることも。着用後は必ず以下の点をチェックしましょう。
・ブラッシングや軽い拭き取り
屋外やパーティー会場などで着用したドレスには、ホコリや軽い汚れが付着している場合があります。まずはやわらかいブラシや、湿らせた布を固く絞ったもので軽く拭き取るなど、表面の汚れを落としてから保管に入ると安心です。
・においや汗ジミは早めに対処
汗や飲食物のシミは時間が経つほど落ちにくくなります。襟元や脇、ウエストなど汗や皮脂がつきやすい部分は特に注意が必要。発見したらすぐに部分洗いで対処するか、早めにクリーニング店に持ち込むことをおすすめします。
・ファスナーやボタンの点検
着用中にファスナーやボタンが破損し、気づかないまま保管すると、次回着るときに困る場合があります。細かい付属品の状態も確認し、補修が必要なら早めに済ませておくと、急なセレモニーにも落ち着いて対応できます。
大切なドレスをいつまでも美しく保つためには、素材や洗濯表示を正しく理解し、自宅洗いとクリーニングの使い分けをすることが大切です。さらに、着用後のメンテナンスや保管環境にも気を配ることで、黄ばみやシワ、カビのリスクを軽減できます。
特に、シルクやレースなどのデリケート素材が使われているドレスは、おしゃれ着用洗剤や洗濯ネット、手洗いなどを駆使してやさしくケアするか、専門のクリーニング店に任せるのが無難です。費用や手間はかかりますが、その分長く愛用できるメリットがあります。
結婚式やパーティー、入学式や卒業式など、特別なシーンに着るドレスは、その日の思い出をより華やかに彩ってくれるもの。適切なお手入れと収納を心がけて、次に袖を通すときにも最高のコンディションで着こなせるように準備しておきましょう。